« 2012年10月 1日 (月) | トップページ | 2012年11月14日 (水) »

2012年10月 9日 (火)

2012年10月 9日 (火)

たまにはコアな話でも・・・・ネジに関して?!

Img_8572 ネジってものを中心に設計に関してちょっと考えてみよう?!

ブレーキブラケットの取り付けの件で、どう説明しようか考えさせられちゃったので、わかりやすく説明できたらと思ってブログアップしてみます。

まずは、取り付け座面に関しては、正直、規定トルクで締め付けられていれば、座面幅が多少減っても私の考えではOKと考えます。

なので、無理矢理???的な取り付けの場合、何処を犠牲にするかは当然、座面幅です。

だって、キャリパーとかが当たって取り付かないのですから、一番問題ないところを削ります。

ローター外径を強烈にあげられれば問題ないかもですが、ホイールとの干渉とか難しいですよね?!

Img_9499 例えば、ブレンボさんのこんな高価な耐久用のキャリパーの座面って結構小さくないですか???

ここは面圧に関わる部分ですけど、逆にその面圧をしっかりかけられるかの方が本来、私は重要と考えます。=ネジの締め付けの話ですよ!!奥さんっ!!

なので、私はボルトの選定も含めて、設計の一部と考え造っているのです・・・が、ちゃんと取り付けられているかって言うことも、本当は極めて重要な要素なのです。

SKRの場合、アフターエンジニアリングとして、他社種流用とかもしますけど、干渉しているところを見逃してしまっては、確実に締め付けられていないことになりかねません。

平たく言ったら、ネジの閉め忘れ???に匹敵する話です。

Dscn2430 なので、どう考えて造っているか???そして、それを理解して取り付けていただきたい・・・・。

ということで、ブログに書いてみようかと思いました。

ですが、本当はもっと奥深いです・・・・。ザックリお話しますね。本当は私のこの長文でも足りないくらいの話になりますです・・・はい・・・・。

まずはネジには強度区分って言うのがあります。

で、当社でオススメしているのは基本的にassy部品として提供しているクロモリキャップボルト=黒い奴です=12Tとか言うのかな???

えぇ、錆びます・・・・普通に黒染めですしねぇ

なので、ステンレスボルトにしたらって言う話もあるんですけど、ステンレスボルトはアルミとの相性はあまりよろしくないです。せっかく腐食防止のためにアルマイトを入れたとしても、ステンレスは逆に腐食を促進するんです。

逆に普通に売ってるとするとユニクロメッキの銀色?もしくは金色のボルトがありますけど、強度区分だけで見ると普通に低いです=10Tとかです。

(最近は、銀色の10T相当のボルトを供給している場合もあります=後にザックリ説明していますが、諸々の理由で問題無いと考えているからです・・・細かく言うと有効ネジ部が確保できていて、ネジピッチも極細目を使用しているなど・・・です)

なので、どちらかと言うとそれを逃げる方向ではクロモリキャップボルトに後処理でダクロメッキと言うのもあります。

ちょっと高級メッキになるかもしれません。一杯いくら???と言う感じで出来るので、同じ物をたくさん使う場合は提供できるかもしれませんが、毎回違う長さや外径サイズを提供しているのを考えるとあまり現実的ではありません。

Dscn2450 で、もうちょっと深く逝くと更にはネジピッチも関係してきます。それは軸トルクに起因するところなんですが、同じねじ深さ(ネジのかかり)が同じだとして、同じトルクで締めるとなったらピッチが細かい方がネジのかかる部分の面積は大きいですよね。

例えば、ホイールナットで考えますと、日産意外は基本、ピッチ1.5です。スペーサー入れちゃってホイールナットが5ミリしか噛んでいないとすると、5÷1.25=4山噛んでます。

それ以外のメーカーの場合は5÷1.5=3.3333・・・・およそ、3山しか噛んでないです。

どっちにしろ怖いんですが(汗)どっちがいいかはなんとも言えませんし、ぶっちゃけダメですけど(笑)細目の方がちょっとだけありなのかもしれません・・・・・。

でも、同じ長さでどのぐらいの面積を確保できているか????に起因するのですけどネジピッチが細かいと今度は下穴の関係も出てきます・・・・。

以前、このブログでも説明したことあったと思うんですけど、ネジの下穴はネジ径-ピッチで大体OKです。並目と言うものをまず覚えていただきたいんですけど、M6ならピッチ1.0で、M8は1.25。M10は1.5でM12は1.75です。

これ、非常に説明難しいんですが、ザックリ私が考えるところ1.5Dと言う数値を考えます・・・・。M12だと、外径=Dで1.5Dなんで、12(外径)+6(半径)ミリ=18ミリって事です。

ネジの掛かる部分を18ミリ確保したいなと思って、さらに、同じ18ミリだとするならピッチは幾つにしようか???と思ったら、極細目のピッチ1.25にします。

18ミリではピッチ並目の1.75だと10.286山≒10山

極細目の1.25山だと、14.4山≒14山で、4回転も多く出来ます。

が・・・・、

ネジ山一箇所の掛かる部分の肉厚を考えます。

並目の場合タップを空ける下穴径はM12-1.75=φ10.25≒φ10.3です。

極細目の1.25ピッチの場合下穴径はM12-1.25=φ10.75≒φ10.8です。

10.8-10.3=0.5で、φなので半径で考えると方肉は0.25肉厚ありますね。

さて、どっち取るって話になってきます。

これ、説明するの非常に難しいんです・・・・・。

何度も言いますけど何せ軸トルクに起因するんです・・・・・。

まぁ、平たく逝きましょう・・・・。

ネジピッチは細かい方がエライっ!!

その代わり、管理する側=私のような加工屋の下穴管理が大事です。

それと、細かすぎてφ数大きくなるとかじらせずにネジ入れるのすんげー難しいっす。

で、ですねぇ・・・・。

これ、エンジン組んだ事ある人なら何となくわかってもらえると思うんですけど、ボルトの伸びとかにも関係してくるんですね・・・・(ってか、これが一番重要!!)

ヘッドボルト締める時にネジ部と座面にオイル塗ったりすると思うんですけど、これ何ででしょう????ボルトも純正品で決まっていて、締め付けトルクも整備書で指定されてます。最近は角度締めなんてのも主流になってますね。

角度締めはこれまた、難しくなるんで置いときまして、今度はオイルもなんも塗らなかったら逆にどうなるかを考えましょう。

同じボルトで同じトルクで締め付ける訳ですが、ボルトは座面に当たってから、締め付ける=ボルトを伸ばす訳です。

座面に当たって、その時点ですでにそこでかじったらどうでしょうか???

ネジを山に引っ掛けて伸ばす訳ですけど、先に座面で滑らなくてかじっちゃうんですよ=ネジが伸びる前にトルク掛かっちゃうと言うことになりません???

マフラーのボルト緩めるときに緩まんなくてねじ切っちゃうのと、逆の原理です(本当はちょっと、違うけど・・・・(汗)

まぁ、スルスルで逝けてれば、規定トルクの時に伸びて欲しい分だけボルトは伸びるんですけど、伸びる前に引っかかっちゃったらそれ、締まってねーよって話になると思うんですけど・・・・・。

はい、それ、軸トルクの話って事で良いでしょうかね????

何となくわかってもらえたかな????

で、結局何を言いたいかって話なんですけど、何を優先して設計するかと言う話なんですね。。。。。

Dscn2454 正直、わたくし=設計屋が本業ではないのですけど、どうしても設計をせにゃ形にならんわけで、何処を優先して考えているのかを理解していただきたいと・・・・。

ネジがかじって締まってない=そりゃ、緩みますわな・・・・。

って事は、一つ一つのネジをどう締めるか=これ、メカニックの基本です。

メカニックもエンジニアもやっておる、わたくしとしてはですね、設計者の意図を考慮して、干渉する部分なくどうこのネジを締めるかをメカニックは考えていただきたいっ!!

なので、普通のレースメカニックはよくコパスリと言われている、カッパーグリースを塗ったりします。

で、ネジは緩まなければ剛体と考えて良いと思います。

緩まないようにする為にはどうするか???

それこそ、ダブルナットも一つの選択肢ですし、ネジロックもあり得ます。緩まない為にスプリングワッシャーと言う考え方もあるんです。これが逆転の発想でよくよく見ると座面は少ないです。面圧とかじりを利用してるんですね?!

って事は、緩まなければ剛体と考えてよいのではないでしょうか???

したら、剛体となるネジは谷部分の強度が心配です=良く、ネジの谷から破断するんですよ=これは緩む症状が出る=軸トルクに耐え切れなくなって、ネジが緩む=隙間が出来てガタが出る=一番肉厚の弱いところに応力が集中する=ネジで言うと谷の部分です=ボルトが折れる。

あれっ・・・・これ、本質見極めてなければ、常にボルトが悪者です。

座面が座屈する要因があったら、トルクが掛かっていない=ネジをちゃんと締めてないのと同じことです。

根本原因は何処でしょうか????

Dscn2459_2 イメージとして、ブレーキブラケット造ったとして、取り付けにM6のボルトは怖いでしょ・・・・いくらなんでもww

んだば、普通にM12だとして、ピッチは最低限置いといて、3山しかネジのかかりがなかったらそれもそれで怖いでしょ・・・・・。

どっち取るって話です。

更に深く考えると、一点止めのGTのホイールナットが良く緩んでタイヤ採れちゃうパターン見るかと思うんですけど・・・・。

ちょっと、マニアックすぎるかな????

置いといて・・・・・、いや、ほっといてww

ブレーキで締まる方向に作用するか、加速で締まる方向に作用するかどちらのGが大きいかの話なんですよ・・・・・。

これまたマニアックな話なんでサラッと逝きましょうね・・・・。

車両の左右で正ネジか逆ネジかになってまして、ナットの色が左右で間違わないように色を変えてるんです。

これまた、ながーーーーい話に出来そうなんでこれぐらいにしましょうかww

っちゅーことで???ね・・・・・、色々考えて設計しとると言う話です。

色々説明すると深い話になりすぎてどう説明するか難しいのですけど、ザックリのところで理解いただけるとうれしい限り・・・・。

ネジ一つ締め付けるにしても、いろんな意味があるのです。

閉め忘れリャそりゃタダのミスですけど、人間がやっていることですので100%は無理ですって・・・・・。

でも、完璧を目指すのがメカニックですし、アールズやグッドリッジとかもそうですけど、航空機の信頼性から車業界に降りてきているパーツも多数あります。

航空機もよくよく見ると怖いですよww

それでOKなんだってぐらいのパーツって結構あったりしますしね・・・・。

航空機業界では溶接よりリベット接合が基本の筈です。

最近はカーボンコンポジットなんでしょうけど・・・、そんな技術が車業界に降りてきていたり・・・・。

これ、キリがないのでこの辺で・・・・・。

要するに、技術はキリがないっちゅーことですね。。。。

日々、技術は日進月歩・・・・・。

可能な限り最先端を見れる環境に自分を置いておきたいですね・・・・。

で、落とし所は何処なんでしょうね・・・・・。

飲みながら今度お話しましょう!!一晩じゃ終わりませんけどね(汗)

|

« 2012年10月 1日 (月) | トップページ | 2012年11月14日 (水) »